「世界に紹介したい本」を3冊を選びました。
1.寺田寅彦『柿の種』 岩波書店、1996年 http://www.aozora.gr.jp/cards/000042/files/1684_11274.html 文人科学者・寺田寅彦が俳誌『渋柿』に連載した短章を集めた作品。科学的方法と日本的感性の絶妙な味わい。俳句のように、短い文章から世界が豊かに広がっていきます。
2.谷崎潤一郎『陰影礼讃』中央公論社、1995年 http://opac.lib.tokushimau.ac.jp/mylimedio/search/book.do;jsessionid=1f604a7afd366609bccc39c19963?nqid=1&mode=simp&database=local&searchTarget=BK&queryid=1&position=1&bibid=973681&detailCategory=book 日本を代表する小説家のエッセイ。日本の美は陰影の中において初めて立ち現われてくるという。「目からうろこ」の名エッセイ。節電の時期に再評価されたことも記憶に新しい。
3.アレックス・カー『美しい日本の残像』朝日新聞出版、2000年 アメリカの日本研究家アレックス・カーは、徳島の祖谷に自分の探し求めていた「お城」を見つける。開発で失われて行く日本の美を、ここにかろうじて見出せたのだ。外国人のみた絶好の日本論であり、かつまた四国・徳島を世界に発信する作品でもある。
「陰影礼賛」は以前から読みたいと思いつつ,後回しにしていた本です。ついに読むことができました。この本のテーマは「美」と「文化の醸成に思いをいたすこと」だと思います。日本の美は陰の中にこそある、ということを数々の例を挙げて述べています。電気やガスの器具が日本家屋にそぐわないなど、「昔はよかった」的な話から始まるのですが、和紙や能衣装など文化の話になると、俄然説得力を持ってきます。私が一番なるほどと思ったのは次のくだり。「そして私が何よりも感心するのは、あの玉虫色に光る青い口紅である。・・・あの紅こそはほのぐらい蝋燭のはためきを想像しなければその魅力を解し得ない。古人は女の紅い唇をわざと青黒く塗りつぶして、それに螺鈿をちりばめたのだ。」以前、この青い口紅のことをどこかで聞いて、青い口ってきれいかなあ、と思ったのですが、なるほどこれは妖しく美しかっただろうと思うのです。ところで、この文章が書かれたのは1933年、戦前です。このときすでに、文化が失われていることについて嘆かれているということに驚きました。じゃあ、今は?失われたことすら忘れられているのかもしれない。文化というのはそうやって変遷していくのかも知れませんが・・・。震災後、この文章がよく取り上げられたということですが、節電ということばかりではなく、古来の文化を継承する土台を取り戻す、という文脈で語られたならいいなあ、と感じました。
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